◆印紙を貼る理由
印紙税は、所得税等と異なり、商取引そのものに課税するものです。つまり、経済活動の結果得られる利益等に課税するわけではないため、取引ごとに発生する契約書や領収書をもって課税されるものです。税の徴収側としては、手間もかからず効率のよい徴税方法ですね。そのため、昔は、印紙が貼ってないと、裁判上の証拠として認められないといったこともありました。
現在は、印紙が貼っていなくとも裁判上の証拠としては認められますが、会計監査や税務調査といった場合には、証憑としての信ぴょう性がないとされる可能性はあります。ご注意ください。
◆書類が発生しない取引
現代では、インターネットを通じて取引が完結してしまう商取引も存在します。当然、紙の書類等は存在しないわけですが、そういうデータ上に存在する契約書等には、印紙を貼る必要はありません。今後、インターネット上で完結する取引はますます増加してゆくことでしょう。
印紙税の存在価値は薄れてゆくものと思われますが、上記した通り、税の徴収側としては、手間もかからず効率のよい徴税方法ですから、代替法に変わることはあっても、無くなるということはないと思われます。
◆サラリーマンが車を売却した場合
会社など営利活動を目的とした法人の場合は、領収書に印紙を添付しなければなりません。ただし、印紙税法上、「営業に関しない」取引であれば、いわゆる領収書に印紙を添付する必要はありません。ここでいうところの「営業」とは、「利益を得る目的で、同種の行為を反復的、継続的になすことであり、営利目的があるかぎり、現実に利益を得ることができなかったとしても、また、当初反復、継続の意志があるかぎり、1回でやめたとしても営業に該当します」と税務当局はいっています。となると、営利目的のない行為は印紙税法上営業とはみなされないと考えられますので、サラリーマンが車を売却した場合は、印紙を添付する必要はないでしょう。
ただし、例えば家賃収入等があるサラリーマンの場合、家賃収入は「営業」行為の結果、得られるものですから、その「営業」行為の為に使用する車の売却にかかる領収書には印紙を添付する必要があります。